幹事長挨拶

平成20年度 幹事長挨拶

平成20年度日本弁理士クラブ幹事長 桒原 史生

はじめに

 平成20年2月1日より本年度日本弁理士クラブ(日弁)の活動が始まりました。日弁幹事長を歴任された先輩諸先生方のお名前を拝見するにつれ、その責任の重さを痛感すると同時に、私のような浅学非才な若輩者で務まるのだろうかとの不安を払拭することができませんが、精鋭の副幹事長その他のメンバーと共に精一杯努力する所存でおりますので、会員の皆様方のご支援・ご指導・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

 日弁はPA会、春秋会、南甲弁理士クラブ、無名会、稲門弁理士クラブの5会派からなる連合体組織であり、2000名を大きく上回る会員を擁する最大の弁理士会派組織です。これまで日弁は日本弁理士会会長を初めとする役員などを毎年のように輩出し、会務を人事面や政策面などからバックアップしてきました。しかしながら、日弁のポジション・プレゼンスが近年少しく低下してきているのではないかとの懸念を持っているのは私1人ではないと思います。昨年度に還暦(60周年)を迎えた日弁は、原点に立ち返るべきところは立ち返って、日弁として何ができるのか、何をすべきなのか、進むべき道はどこにあるのか、を模索していかなければならないと思います。

会員問題

 日弁が会員数2000名を超える最大会派であると言いましたが、近年の弁理士試験合格者の大幅増大により弁理士数が急増していることに比べると、日弁会員数の伸びは微増に止まっています。この問題は日弁だけでなく他の会派(連合弁理士クラブ、西日本弁理士クラブ)でも同様であり、どこの会派にも所属しない無会派層が急激に増えており、今や弁理士総数の半数以上を占めると言われています。もとより会派に属するか否かは弁理士各人の自由意思に委ねられ、決して強制できる類の問題ではありませんが、弁理士会を支える人事母体としての会派の役割を考えると大変に憂慮すべき事態です。

 最近の新人弁理士が会派への所属を嫌う傾向にあることについては幾つかの理由が考えられますが、競争時代に入った弁理士業界において会派活動に費やす時間的・精神的余裕が以前と比べて少なくなってきていることが大きな理由かも知れません。確かに会派活動は弁理士業務そのものではないのでそれ自体で収入を稼ぐことはできません。ボランティアと言っても良いでしょう。しかし、このボランティア精神が日本弁理士会を支えていることも事実です。たとえば、日本弁理士会の各委員会の委員は従来からの会派推薦に加えて公募を行うようになりましたが、例年、特許委員会や商標委員会などの弁理士業務に密接に関連する委員会には多数の公募が寄せられますが、実務に直結しない(ように見える)委員会にはほとんど公募者がいません。しかし、これらの委員会も日本弁理士会及び弁理士にとって重要な委員会であることは言うまでもなく、各会派はその重要性に鑑みて委員を推薦しているのです。また、実務系委員会にしても、各会派は過去の実績や経験などを踏まえて適材適所に委員推薦しているのに対し、公募で入ってくる委員は自分の勉強のためという意識が強く、委員会活動に実質的に貢献できていないことが多いとも聞いています。

 会派に属することは、確かに時間を費やすなどのマイナス面もありますが、先輩弁理士など多くの仲間との付き合いを通じて切磋琢磨したりストレス解消に役立つという有意義な一面もあります。また、会派に属することによって日本弁理士会やそれを取り巻く知的財産関連事情を見聞きする機会に接し、自然と関心を深めていくことができます。無会派層の多くは残念ながら会務に対する関心度が低いと言わざるを得ません。無会派層が弁理士の大多数を占めるようになってしまったら、日本弁理士会は進むべき道を見失います。弁理士会への強制加入制度を維持できなくなる可能性も懸念されますし、ひいては弁理士制度自体も崩壊の危機に晒されるかも知れません。

 このような状況を打破するのは容易ではありませんが、少しでもその糸口を見つけていきたいと考えています。なお、ご承知の通り、日弁内各会派の会員が日弁の会員であり、日弁内各会派に会員登録せずに日弁に直接会員登録することはできませんので、日弁内各会派における会員勧誘の状況や会員増強のための活動などをサウンドしつつ、連携的に検討していきたいと考えています。この問題は政策委員会に諮問いたします。

会長問題

 平成19年度より会長2年制がスタートし、その初代会長である中島淳氏が今年度2年目の任期を迎えますので、今年は次年度及び次々年度(平成21・22年度)の会長を選出するための選挙が行われます。弁理士を取り巻く環境が大きく変貌している中で、会長には、8000人に迫ろうとする弁理士を強力なリーダーシップで舵取りしていくことが要求されます。大変な重責と労苦を伴うものですが、幸いなことに日弁には会長職をお願いするのに相応しい有為な人材がおられますので、是非とも日弁から会長推薦をしたい、いやすべきであると考えています。

 この問題は主として協議委員会マターになると思いますが、相談役の先生方からのご意見なども拝聴しながら日弁内のコンセンサスを図り、また日弁外の情勢をも見極めつつ、適切且つ慎重に対応していきたいと考えています。

旅行会

 昨年度は大西幹事長の発案で、連合との合同旅行会を開催しました。日頃あまりお顔を拝見することのない連合の先生方とも和気藹々と懇談することができ、大変有意義でエポックメイキングな企画でした。ただ、今年度は、上記のように会長選挙があることも考えて、日弁単独の旅行会として企画させていただきました。6月21日(土)に修善寺温泉の名門旅館「桂川」で宴会・宿泊し、翌22日(日)には伊豆国際CCでのゴルフ大会も予定しています。追って改めてご案内いたしますが、奮ってご参加くださいますようお願い申し上げます。

最後に

 上記以外についてはほぼ例年通りの日弁運営を考えておりますが、冒頭にも書かせていただきましたが、会員の皆様方のご支援・ご指導・ご鞭撻なくしては円滑な運営ができません。来年1月に任期を終えたときに、今年度の日弁は良く頑張ったねと言われるように努力したいと思います。何卒よろしくお願い申し上げます。

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