[会 員 だ よ り]
東 海の 事 情
向 山 正 一(南甲弁理士クラブ)
東海地方にある程度の数の弁理士がいることは、日本弁理士クラブ(以下、「日弁」)の会員の方々もご存じのことと思います。しかし、東海地方のクラブ事情、弁理士会活動事情となると、多くをご存じの方は少ないのではないでしょうか。そこで、少し東海地方の事情をご紹介します。
現在、東海地区(愛知県、三重県、岐阜県、静岡県、長野県)には、222名の弁理士がいる。東海地区には、近畿のような統一会派はなく、東京のクラブに属する形態となっている。現在、東海地区には、南甲弁理士クラブ、春秋会、PA 会、同友会、弁理士クラブへの入会者がおり、それぞれ東海地区での集まりも持っている。各クラブの名古屋支店といった状態である。
私が、名古屋に戻り開業したのが、14年前。その当時では、南甲弁理士クラブ、春秋会、同友会の3会派であったのが、約10年程前に、弁理士クラブができ、7、8年前に PA 会ができ、現在の状態となっている。会派の構成人数は、資料もなく推測であるが、上記の順で、5:5:2:3:2程度ではないかと思う。また、日弁としてみると、130名程度の会員数と推測する。日弁全体の数%の会員が東海地区に在住していることになる。
もともと、南甲弁理士クラブ、春秋会、同友会の3会派活動体勢が東海に形成されたのは、昭和47, 8年頃のようである。東海地区には、中部弁理士クラブ(以下「中弁」)という昭和24年頃生まれた組織体があり、過去においてはこの組織体が政治団体として活動していたが、昭和47, 8年頃、政治色を失い、親睦団体に変化し現在至っている。南甲弁理士クラブの東海地区の古い先生に聞くと、南甲イコール中弁であったと答える人が多い。しかし、南甲と中弁はかなり強い協力関係にあったもののイコールではなかったようである。南甲の34年の名簿には、東海地区に7人の弁理士がおり、43年の名簿では、9人に増えている。しかし、中弁の43年の名簿には、21名の会員がいる。ことの経緯は不明であるが、南甲の40年の名簿には、中弁会員全員が入っている。また、南甲と同様に、春秋会に入会していた方もおられたと思う。どうも、個々のクラブに入会されていても、当時は、中弁として政治的にはまとまって、日弁協力団体となっていたようである。それが、何らかの事情で、中弁の政治色がなくなり、個々のクラブでの活動に移行したようである。そして、3派状態が20年近く続き、新たな2会派の発生により、現在の5会派体勢となっている。私にとっては、旧来からの3派と新しい2派という認識が強い。なお、5会派総計しても、200名程度である。ここ10数年、東海地区での弁理士試験合格者が比較的多いため、新会派が誕生しているものの旧会派の会員数も増加している。なお、連絡会的なものではあるが5会派の話し合いの場もある。
クラブ事情は、この程度とし、話を東海地方の弁理士会活動事情に移したいと思う。手元に、10年前の平成2年版弁理士名簿があり、その当時、東海地区会員は、約150名である。現在222名であり、約10年で、1.5倍に増加している。
平成2年当時、東海地方に存在していた弁理士会活動組織としては、東海地方委員会(10名)のみであり、その他数名の研修所運営委員、数名の選挙管理員会がいた程度であり、総計でも17~8名であった。平成9年に東海支部が設立されて事情が大きく変わった。東海支部は、正副支部長を含む支部幹事15名、監査幹事3名、3つの委員会21名、その他幹事会設置委員会で数名の組織体とである。さらに、研修所の中部地区研修所に10名、工業所有権仲裁センター名古屋支部に2名、選挙管理委員会3名もいる。合計すると60名近い人数になる。
単純に東海地区会員数222名で割っても、3.7人に1人は委員を行っていることになる。また、東京の委員会にも参加している会員もおり、委員会参画率はかなり高い。
また、東海地区の特性として、会員数が少ない故、顔見知りが多く、さらに1委員会の人数も少ないため、委員会開催時に、「〇〇先生、・・先生どうしたの」事務局に聞くと、「〇〇先生お休みで、・・先生は少し遅れるとのことです」との会話をすることが多い。誰が休んでいるのはよくわかるので、比較的出席率が高いようである。
そして、5会派混在という状況であるにもかかわらず、東海支部における弁理士会活動に派閥意識は少ない。東海支部の独立性と会員数が少ない故の親密性が相まったものと思われる。この状況が永続しかつより多くの会員の弁理士会活動への参画を期待したい。確かに、東海支部における弁理士会活動に派閥意識は少ないが、人選における派閥意識は存在している。私が考える人選における派閥意識は、ポスト確保という積極的意識と会派人数に相応した協力を求める協力要求意識との混在と思う。特に、会員数にくらべて委員数が多いため、後半の協力要求意識が強くなっていると思う。委員会活動も好きな人がやっているという時代ではなく、皆で平等に行っていくという時代になってきていると感じる。このためには、会派間でのワークバランスをとること、いずれかの会派への入会を促すこと、いずれの会派にも属さない会員の参画を求めていくことなどが必要と考える。