会報第24号・雑感

[会 員 だ よ り]

雑感

大畑 進(春秋会)

 全く今年の夏は異常だ。暑さ、巨人の強さ、地震、数々の事件、これらは何か関係が有るのだろうか。巨人のようなチームが圧倒的に強い状況では人々は絶望的になるものだ。これから阪神が逆転優勝する、ということになればもっと住み良い日本になるのではないか、などとつい考えが脇道に逸れてしまう。

 4月に事務所を開いたものの、開店休業状態で長い夏休み中である。そんな状況を見透かされてか、会誌委員の方より原稿のご依頼が有り、「忙しいから」という言い訳ができなくて引き受けてしまった。時間は有るのだが、その分何回も考えが変わって思わぬ時間を費やしている。書いてみたあるいは書こうとした主題について表題を列記しただけで原稿が埋まってしまいそうだ。

 最初は、多くの会員の希望を代表して、「弁理士会もペーパーレス化を」という表題で書こうとした。弁理士会から各弁理士に定期的に届く書類を削減し、その情報をホームページに載せて少なくとも会員にアクセス可能にする。内容をデータベース化して検索可能にする。これによりデータの効率的な利用を図るとともに、多くの送付書類の仕分けやバインダへの綴じ込み作業を省き、併せて紙資源の節約を図ることができる。しかしながら、これは課題の発見が容易であるので、すでに進行中のプロジェクトであろうと思い、ボツにした。

 次に、自分としては変わった経験であると思ったので、6年前ワシントン DC 近郊でトライしたスカイダイビングの話を書いた。しかし、「タンデム」というインストラクターと一緒のいわばお試しジャンプを1回しただけなので、迫力が無く、ボツにした。

 次に、アメリカ人の弁護士のジョークについて書こうとした。何しろ私はそれについてアメリカで半年間研究をしたのだ。例えば、「特許弁護士(弁理士)には常に2つの問題が有る。1つは client であり、もう1つは no client である」。しかしながら、これは今の私にとってあまりに深刻な話なのでボツにした。

 次に、テレビニュースネタを書こうとした。沖縄に日本全国の電話番号を集中的に案内するセンターが有り、サミット開催中にそこの安室似のオペレータがインタービューを受けていて、「「ニコタマ」って言われて分からなくて」と話していた。これに触発されて、私の以前からの「言葉は面白短縮変換により進化する」という持論を展開しようとした。しかしながら、それ以外に「チョベリバ」しか例を思い浮かべることができず、断念した。

 しかしながら、ここで最有力と思える主題に想到した。私が考案したワープロ入力法の紹介である。もちろん、「ニコタマ」と入れて「二子玉川」と出るというような単純な「面白短縮変換」ではない。これを使えば明細書作成効率が30%向上する(私の経験)という便利なしろものである。多くの弁理士の方はワープロを使っているので、興味を持ち、参考にしていただける筈だと思って、一気に書き上げた。
 ところが、さすがに私も弁理士である。この内容は発明を含んでおり、この発明は将来私に大きな利益をもたらすかも知れないことに気づいた。当然に原稿を渡す前に出願をしなければならないが、すでに締め切りまで数日に迫っており、出願を済ませる時間が無い。そこで、残念ながら本誌での公開は諦めざるを得なくなった。出願が終わった段階で原稿への追加が可能であればそのようにしたい。

 という訳で、ギリギリの段階で本命案がボツになり、新たな案を探す時間も気力も無く、このような雑感の形でお茶を濁しました。少なくとも努力はしたということでご理解とご容赦を賜りますように。

Top > 会報第24号・雑感