会報第24号・弁理士会中央知的財産研究所について

[ ご 挨 拶 ]

弁理士会中央知的財産研究所について

中央知的財産研究所所長 稲 木 次 之

[現状]

 弁理士会中央知的財産研究所(以下研究所という)は、平成8年(1996年)4月1日に発足し、5年目に入っています。初代の樺澤所長が研究の企画・運営の方法その他一切のノウハウを作成されたので、それに従って現在は運営を続けている状態です。

 今年度に入る前に、研究課題、研究員が略決まっており、研究課題毎に部会を作り、毎月1回、2時間程度の研究を行っております。

 研究課題と担当の副所長は次の通りであり、各研究課題につき運営委員3名が担当しております。お名前は間違えるといけないので省略させていただきます。

 「不正競争防止法第2条第1項第1号、同第2号による商品形態の保護について」安原正義副所長(竹内裕副所長と交代)

 「バイオテクノロジーに対する法的保護のあり方 ・ 明細書の開示・保護の範囲を中心として」中村茂信副所長

 「ビジネス関連特許について」三好秀和副所長

 「均等論」木戸一彦副所長

 研究の期間については、約1年~2年とし、その成果を報告書の形にして会員に配布することを目的としていますが、具体的な進め方は各課題の座長にお任せしてあります。

 このように書いてくると、所長は何をしているのか、ということになりますが、樺澤前所長が毎回の研究会に必ず出席していたという良い習慣があるため、私もほとんどの会に出席し、研究員の方々の意見を拝聴し、勉強させていただいている状態です。

[問題点]

 研究所は、会則である弁理士会中央知的財産研究所規則(第14号)および運営細則(内規50号)によって定められていますが、その組織の中に所長・副所長・運営委員と共に研究員が入っています。そのため、研究員となると弁理士会の組織の中に入ることとなるため、公務員の方々に研究員になっていただくことの障害となっています。

 また、外部研究員には報酬を支給できますが、内部研究員にはその規定がありません。問題となるのは弁護士さん等の他の専門家として研究員をお願いしたい場合、その方が会員であると報酬が支払えなくなります。また、時として研究員となられてから会員登録する方がおられ、その時点から内部研究員となるという不合理なことが生じます。

 勿論、研究員の方の所得から考えれば報酬の有無は問題ではないと思いますが、やはり形式は整えた方が良いのではないか、と考えております。

 そこで、現在・研究所としては村木会長あてに会則の改正を要望しています。それは、前記したように、研究員を組織から外し、より広く研究員として委嘱できるようにすること、および内部研究員にも報酬を(どうせ少額に決まっていますが)支払えるようにしたいと考えております。皆様のご協力をお願いします。

[蛇足]

 ここで感想を述べれば、外部研究員の方および会員ではあるけれども弁護士その他の専門家として内部研究員となっておられる方を除いた弁理士の研究員につき、本当に優秀な方々であると感心するばかりです。

 弁護士さんも弁理士も、仕事を依頼するときの目印となる資格に過ぎないので、依頼者が選択すれば良く、独占的業務があるのは間違いであるという経済学者もおられますが、43年前のある合格者とは比較になりませんが、試験が難しくなったことにより優秀な人材が集まったことは紛れもない事実であると感じる次第であります。

[お願い]

 研究所は弁理士会の立場・意見を外部に対して発表する一つの手段であり、そのためには研究員として沢山の会員の参加を希望していますが、どなたが、何につき興味をもっておられるのか判り難いのが現状であります。研究課題につき、研究員につき、どしどしご意見をお聞かせ願えれば幸いであります。

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