会報第24号・会務中間報告

[ ご 挨 拶 ]

会 務 中 間 報 告

弁理士会副会長 飯 田 伸 行

1.はじめに

 日本弁理士クラブの皆様には、いつも大変お世話に成ります。

 村木清司会長以下9名の陣容で発足した平成12年度の弁理士会理事会が、多くの実績を残した幸田前会長率いる前年度理事会からの引継ぎを受け、4月初め以降活動を開始してから早くも三ヵ月以上を経過致しました。それに先立つ昨年11月以来の次年度会務検討委員会からの理事会務研究期間を通算すれば、約9ヵ月間を経過しており、それなりの情報、ノウハウを各理事なりに蓄え、積み上げている筈です。

 しかしながら、改めて新任の理事会の一員としてその椅子に座ってみますと、大げさに言えば、未経験の多くの事象に連日遭遇する感があります。

 《この原稿を日弁会報部会の小川順三委員長に依頼されたのが沖縄サミット前の7月始め、そして今は、梅雨明け直後の7月終わり近くです。連日の猛暑も有り、まさに文字通り理事生活の慣れと疲れが交錯し、両々あい半ばする頃でも有ります。とにあれ、この数ヵ月間走りながら考え、考えながら走ると言った生活の連続でした。本年3月2日の役員選挙当日、その前後の諸日程のことが、走馬灯のように脳裏を去来します。いずれにせよ、他の三名の日弁系統の副会長(増田、亀川、小山の三氏)と共に全員もれなく当選し得たことに関係各位への謝意を表明する次第です。その後の理事室内外での生活について、可能な限り感想も踏まえ、今後のことも若干取り上げながら報告することと致します。これに先立ち、予め数年間分の日弁会報誌で、過去の他の先輩理事の方々の執筆内容を拝読しました。その感想としては、一応自己の担当分野を中心にするが、その他の事については、かなり自由であるとの印象を受けました。そこで、この原稿は報告的部分を残しながらも、かなり私の好きな内容順序で表現致しました。》

2.四月と五月頃の活動概況

 現在までに理事たるものの繁忙性が、これまでの総合政策検討委員会等の議題として、又さまざまの会員レベルで何度となく取り上げられました。その種の理事繁忙性の参考例になるかどうかはともかく、暦の関係で言えば、4月の理事会立ち上げは、4月3日《月》となり、当日は、特許関係の数団体を理事全員で挨拶回りしました。(このような日程の要否、当否は別論とします。)翌日の4日は、アメリカの同業者団体とも言うべき AIPLA との定例会合との事で、(これは、全理事の参加ではありませんでしたが、敢えて参加してみました。)配布資料の膨大さが印象に残りました。同時に配布された資料のその後の運命(徹底活用かダスターシュート直行か等)についてこの頃から、ペーパー媒体と電子媒体とによる会議資料、会員配布資料へのさまざまな問題意識が芽生えてきました。

 ところで、理事に選ばれて、その任務についたとは言え、最大の関心事は、自己の業務と会務との有効な両立です。もっとも、村木会長から就任の初日に配布された理事心得7個条によりますと、第2項目に「会務を優先すること」とありますが、これについては、会務優先か仕事優先か困った時に相談をしながら臨機応変に対応するのが、良いでしょう。

 事情としては、年度毎に構成する理事会によっても会長方針によっても異なるでしょう。

 会務と業務の両立をめざしては、毎日自分なりにさまざまの工夫をこらしていますが、最大のよりどころは、何と言っても、周囲の理解と協力にあると言えます。この周囲には、自己の事務所等の所属組織と、会派、支持グループ等の選出母体組織が考えられます。言い方をかえれば、現在の理事たる副会長という立場は、人々の理解と支持に支えられており、この要素は、本人の努力と工夫とほぼ等価に近いというのが、理事生活数ヵ月を迎えた現在の私の心境であり、文字通り日々の実情です。

 ところで、切口を変えて言えば、理事の1日の持ち時間を24時間とすると、会務と業務と、そして個人差はあるにせよ私的自由時間とを総計して24時間がなりたちます。これまでの多くの先輩理事は、この三種の時間配分に苦しみ(いや時に楽しみかも)その任期をまっとうされて来たものと推測します。

 変化技を一つ言うならば、事務所にいて事務局員からの電話に応接している時などは、同一時間帯を会務と業務の同時処理を果たしていることもあります。そんなときは、自ら「私は今、会務に忠実にして理事心得は充分遵守されていますよ会長」と内心呟きます。(会長たる理事の場合は、副会長たる理事の場合とは、立場も前提も、そこに至る経過も別ですからここでは詳しく触れません。)

 さて、やや自らのことに言及し過ぎました。より公的な問題について話を戻します。

 4月18日の新弁理士法成立は、経過からしてもそれまでと一変するものであり(それまでは、法律案であったが、その後は、法律であり、政令、省令をふまえた令規会則の制定の出発点をナスと言う意味です。)

 会員諸氏も法律案の成立時期、成立内容等と読みきれない筋書きがありましたから、その後の政令、省令改正等を踏まえた時間制限付の新令規会則案の作成対応《年内完了》の困難さと関係各委員会の見えない(あるいは見えている)多大の労苦をどの程度、全会員が理解し共有し得るかが、キーとなりましょう。

 私の場合に戻れば、主担当は会計であり、弁理士会の今年度全事業にも深く関わりを持つ関係上、この3ヵ月間ほどは、ひたすらに予算会計についての研究に集中しました。(この間に有り、前任の真田修治理事には、物心両面にわたるご指導を頂き、あわせて吉川前会計課長、東現会計課長をはじめとする事務局会計課の課員の皆様にも多大のご協力を頂いたことを記して謝意を表明します。他の事務局員の方々にも色々お世話になりました。)

3.主担当と担当委員会について

 前記のとおり私の担当職務で最大のものは、会計及財務です。その内でも、ハイライトは「当年度の事業計画大綱を実施に移すための平成12年度予算大綱の策定と定時総会での議案上程」という作業です。何故か各年度の会計担当理事は1名であり、副担当がいない関係上、作業の大綱は担当理事自らが把握しなければなりません。もとより、ここ二三年の傾向としてご存知の通り、ある力学的見地から我々は選挙の洗礼を受ける関係上選挙結果の当選判明後、日ならずして会長より会計担当の内示を受けたときは、選挙疲れを癒す間もなく? 不慣れな会計分野の知識と問われるであろうアカウンタビリテイ《総会での説明責任》能力の獲得に向けて日々大量の文書を持ち運ぶと言うありさまで、ビューテイフルならざる生活が約3ヵ月間ほど続きました。これは、たまたま要領の悪い私の場合であって、聞くところによると、例年の会計担当理事は、もうちょっとスマートに対処されているようです。

 会則上、定時総会の前には、常議員会がありますから、それにも備えるべく過去数年間の定時総会議事録、常議員会議事録を肌身はなさず? 愛読しました。いずれにしましても今年度会務担当の亀川義示理事と共に会計担当理事として、今年度の木内光春議長をはじめ正副常議員議長以下常議員各位には格別のお世話になります。残り任期中宜しくお願い致します。

 担当委員会については、関係上まず財務委員会を担当します。諮問として、研修所の特別会計化、その財団法人化とやや重過ぎるテーマと、弁理士会費の金額見直しというやや緊急性の高いもの、寄付規定関係の研究と、専門性の高いテーマが中心ですが、正副財務委員長以下熱心な委員による質の高い答申が期待出来そうです。

 他に業務対策委員会、海外協力委員会、広報委員会等を担当しますが、この中でも広報委員会に取られる時間が多く、他の二つの委員会には比較的迷惑をかけ、済まないことに思っております。業務対策、海外協力両委員会につきましては、委員長の力量と委員各位の努力に甘えている節を認めますが、定時総会に向けた会計業務の重圧から担当委員会の立ち上げがどれも全て遅くなり、私の担当委員会は、同日同時刻に2個以上競合することが多く、一方の委員会にご迷惑がかかっているようです。この点、お詫びします。業務対策委員会については、諮問として従来の定例的非弁活動行為、告発事件の検討対処等と共に、新弁理士法第75、第76条(現行弁理士法第22条の2、第22条の3対応等)の検討があります。非弁事件での有罪判決が最近埼玉県で出たこと等もあり、委員会の重要性は残ります。

 海外協力委員会は、特許庁、知財協会等による APEC 中心1,000人研修が、実績を残して終わり、更に続開ということになったことを受けて、当委員会も種々協力しています。この委員会は、アジアの知財対策には重要な役割を演ずるところ、日程の競合から、私は委員会に充分出席できないことを真に申し訳無く思っております。

 (尚、会員の皆様には、JPAA ジャーナル等で、この委員会からレセプション参加の呼びかけがありましたら、少しでも良いからご参加頂ければ、人的にも物的にも助かります。)

 最後の広報委員会については、新弁理士法成立の故か、マスコミの取材も例年より多数集中しております。これに関しては、村木会長の方針として、弁理士の対外協力、社会支援の一環として取材へは極力協力を惜しまぬことと言う方針もあり、広報委員会の担当業務も増大気味です。先日の弁理士の日の記念講演(会場東商ホール、日時7月12日開催、テーマビジネスモデル特許)のように知的財産支援センター、ソフトウエア委員会等との複数の委員会横断型の協力体制がしけたことは良かったと思います。

 (但し広報委員会以外は、他の理事の担当であります。)このセミナーに関して言えば、設営は知的財産支援センター、講師陣はソフトウエア委員会、取り纏めなどの側面協力は広報委員会(事務局は広報課中心)といった具合に複数の委員会や外部機関が協力し合ったわけですが、テーマの選定や、優れた講師陣、そして三紙の新聞記事との連動広告など複数の要因がうまくかみ合ったと見えて、聴講申し込みが締め切り間近で急増し、結果的に定員を上回り、途中から受付を断るほどの盛況ぶりだったことも印象に残りました。

4.事務局のこと等

 他に内務として弁理士会事務局を担当する関係上、つい毎日のように虎ノ門に足が向くことが多くなり、事務局についての理解と対策にも思いを致すこと多いですが、これにつきましては、一場事務総長以下ベテランの幹部局員(7月3日には20年、10年勤続の局員数名の表彰もありました。)の協力のお陰様で何とか対処出来そうです。みたところ、一般に事務局員の皆様は、増大する会務の処理機関としてよくやっていると思います。来訪する会員、一般人との応対にも頑張っております。但し、部分的には業務分担のムラや、解決すべき課題も感じますので、お互いに更に一層の問題意識を持って臨みたいところです。

5.その他

 弁理士会は、会務遂行に有用とされる種々の各種団体に、会員として所属しております。今年は、著作権法学会の団体会員となった他、財団法人 日本関税協会知的財産情報センター(略称サイピック、CIPIC)の会員にもなりました。これは、我々の今後の新規業務となる不正商品水際防止業務への情報収集の対策にもつながるものです。新規な弁理士業務への情報収集は、研修対策も兼ねて今後の課題となるところですから、これらの所属組織を通じて得られる知識情報が、今後の会務運営に役立つことを期待したいと存じます。

6.終わりに

 先日、ニフテイのプライベートフォーラムからパワーオフイスへの変更に伴って事務局からニフテイの会員としての弁理士会内フォーラムでの会員専用 ID 番号が、新たに送られてきたので、その番号を使って再度登録しました。処理は、約10分ほどで終わりましたが、その後インターネット経由で弁理士会フォーラムへの接続が非常に簡単になりました。パワーオフイス経由の接続の利点は予想外です。まだの方は、是非早期にパワーオフイス会員への切り替えを実行すると良いでしょう。

 暑さのせいか、少し話題がアチコチ飛びすぎました。今年の会務の遂行にあたりましては、日弁の皆様方の今後とも絶大なるご協力をお願い致します。

(日中最高気温38℃を記録した平成12年7月23日に記す)

Top > 会報第24号・会務中間報告